2009年9月22日火曜日

おくりびと、ふたたび・・・


夕べ‘おくりびと’を観ました。昨秋まだ賞を取る前に映画館で見て以来です。やはり良い映画は二度は観るべきだと改めて実感しました。

昨年春、義父のすぐ上の兄である伯父が86歳で他界しました。お通夜の前に湯灌(ゆかん)をするからと言われ、列席しました。

納棺師の方が3人、それはそれは厳かな初めて見る世界でした。もう20数年前、実家同居していた祖母が家で亡くなった時は、母と叔母と私で身体を拭いて、綿を詰め、最後のお化粧をしました。

それからこのような場に立ち会うこともなく時は流れ・・・この時間は私にとって衝撃的なものでした。

映画である清拭の前に行われる湯灌、部屋に簡易浴槽を持ち込んで、それこそ手品でも見るかのごとく、仏様の身体は顔、手、足先以外いっさい露にすることなく、目の前で清められ、拭かれ、着物を着せられ、シャンプーもし、髭もそり、お化粧・・・これらの作業がし~んと静まり返った中で淡々と進められて行きます。

吸い込まれるように、一瞬も目を離さないように、いや、離せない場面が次々流れます。主にされるのは女性の納棺師の方、作業の途中、何度も仏様のお顔に微笑みかけられ、丁寧に丁寧に手を動かされます。

これは儀式なんだ・・・と本当に感じました。

一連の儀式が終わった後、私は思わずその女性の納棺師の方の所へ行き、ありがとうございましたと言わずにはおられませんでした。本当に感動したのです。

このような職業があることを知らず、このような儀式を見たこともなく・・・この余韻は当分続きました。そんな時、この映画が公開されることを知り、すぐ観に行きました。

その時もじ~んと来たのですが、昨夜はまた更にじ~んと来る場面が多く、一度目で見落としていた表情やセリフの言い回し、様々な些細な場面にグッと来ました。良かったです・・・


さて、私が陶芸の作業場として使っている部屋は元々義父母が倉庫として建てたものの一室です。他の2部屋はなんやかんや正に倉庫、納戸、思い出箱が沢山詰まっていました。1部屋は2~3年前整理し、山のようにあった昭和の食器、グラス、おもちゃなどを生徒さんや友人が引き取ってくれました。若い人には結構レトロな感じが良いようで、また現役で使ってもらえるので助かりました。

もう一つの部屋の整理をここ数日やっているのですが、その中にこんなものがありました。‘オレが使っていたような気もするなぁ・・・’というブルーのアルミのお弁当箱、そして昔飼っていた犬の写真・・・思い出は一瞬にして気持ちを甦らせます。この写真からその頃の家のこと、家族のこと、自分のこと・・・

映画の中で、何度も出て来る石文とボヤケた父の顔、最後に出て来た石文とハッキリした父の顔・・・

もう一度観てみたい映画です。

0 件のコメント: